終活コンサルタント吉川美津子の終活コラム「暮らしづくり 終活:吉川美津子の終活コラム」

はじめよう!終活

「終活」と聞いて、どんな印象を持ちますか?

「終活」と聞いて、どんな印象を持ちますか?  最近、頻繁にメディアに取り上げられるようになった「終活」。近年登場した言葉なので確固たる定義はありませんが、一般的に「人生の終焉に向けて行う活動」といった意味で使われています。例えば、自分の葬儀やお墓について考えておいたり、財産や相続についての計画を立て、身辺整理をしておくといった内容で、これらをまとめるツールとしてよくエンディングノートが紹介されています。
 「人生の終焉に向けて」と聞くと、後ろ向きなイメージですが、実際に終活に取り組んでいるシニア世代はとってもアクティブ。最初は「家族に迷惑がかからないように、念のため少しずつ身辺整理をしておこうかしら」と、なんとなく取り組んでいた人も、「自分自身の棚卸しをしていくうちに新たな発見があった」「まだまだ仕事がしたいと思うようになった!」など、次なるステップへの足がかりになったという意見が多いのには驚きです。

私は葬儀やお墓の現場の仕事を通じて、多くの死に直面してきました。故人の思いがきちんと遺族に伝わっているか否かで、その後の家族の生き方、家族・親戚関係、友人・知人関係がずいぶんと違ってくるのでは、と感じるシーンを数多く目の当たりにしてきました。
 そのうちのひとつ、心に残っているエピソードをご紹介します。

おじいちゃんを生き返らせた「おばあちゃんのメモ」

 その日、私が仏壇の営業に向かった先は、奥様を亡くされたばかりという山田辰夫さん(仮名)のお宅。古びたマンションの扉の前に立つと、猛烈な悪臭が漂ってきました。一瞬「何か事故でも?」と不安にかられましたが、インターホンを押すと辰夫さんが応答したのでひとまず安心。ところがドアを開けた瞬間、まさにゴミの山が目の前に飛び込んできました。
 「妻を亡くして以来、わかっているけれど体が動かないんだよ。」
と片付けられない自分に苛立ちを隠せない様子。さすがに目の前のゴミを片付けなければ、営業もなにもないと、その日は辰夫さんと一緒に少しずつゴミを撤去し、簡単に家の掃除のお手伝いをして帰りました。

 翌日、あらためてご挨拶に訪問。前日に比べて幾分かリラックスした辰夫さん。奥様の思い出話などをしながら、テーブルの上や棚の片付けをしていたら、ふっと一枚のメモ書きに目が留まりました。
 そこに書かれていたのは「洗濯や掃除の仕方、貴重品について、形見について」など。そして辰夫さんへのメッセージが一言。覚え書きのようなメモではありましたが、辰夫さんが困らないようにという思いはヒシヒシと伝わってきます。
 その後、辰夫さんの家は二度とゴミの山になることはありませんでした。
 「あの妻のメモで元気が出ました。他の人から見たら、つまらないものかもしれませんが、私にとっては指南書のような存在だったのです。」
 このメモ書きは、エンディングノートの簡易版といったところでしょうか。今でいう終活とは少し違うかもしれませんが、「家族が困らないように」を前提にしている点は同じです。

流行語大賞トップテンにも選ばれた「終活」

 昨年、ユーキャン新語・流行語大賞で「終活」がトップテン入りを果たしたのを受けて、各地で終活イベントが盛んに開かれています。イベント主催者は葬儀社、墓石関連業者、寺院、税理士・司法書士など士業、終活関連団体、NPO法人など実にさまざま。こういった業者の枠を超えて「終活フェア」などと題して合同で開催するケースも増えています。中には遺影撮影会や納棺体験など、体験型のイベントも。「縁起でもない」とタブー視する声はまだまだありますが、シニア層を中心に終活は着々と広がりをみせています。

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